【満3歳児】「やってみたい」が動き出す瞬間。1月の遊びと心の育ちの記録
【この記事のポイント】幅下幼稚園・満3歳児クラスの1月の保育記録です。「おにぎり作り」や「積み木遊び」を通して見られた、自分の「好き」を伝える姿や、言葉のやりとりを楽しむ様子を紹介。また、大人が先回りせず子どものイメージを尊重することの大切さなど、子どもの心に寄り添う園の姿勢をお伝えします。
新しい年を迎え、3学期が始まりました。寒さが厳しい1月ですが、満3歳児クラスの保育室では、子どもたちの温かな「やってみたい」という気持ちが、ゆっくりと、しかし確実に動き出しています。
満3歳児(3歳になる学年)の時期は、個々のペースが大きく異なり、自分と他者の存在に少しずつ気づいていく大切な時期です。今回は、1月の遊びの様子から、子どもたちの心の成長と、私たち保育者が大切にしている関わりについてご紹介します。
始業式の翌日、クラスで読んだ絵本をきっかけに、新聞紙を使った「おにぎり作り」が始まりました。
先生が握る姿を見て自然と集まってきた子どもたちは、クレヨンで具を描いたり、ビニール袋に入れたりと、思い思いに手を動かします。

「サケが好き。先生は何が好き?」という問いかけに、「(ぼくは)サケがいい!」「サケが好き!」と自分の好みをはっきりと伝える姿が見られました。自分の思いを言葉にして表現することは、自我が育っている証拠です。

一方で、すぐには参加せず、様子を見ている子もいます。そんな時、もう一人の先生がそっとおにぎりに「のり」を巻いてみました。すると、それまで見ていた子が思わずにっこり。両手で大切そうに持ち、食べるまねを始めました。
無理に誘うのではなく、その子の心が動く瞬間(タイミング)を逃さずに環境を整えることで、子どもは自然と「やってみよう」という一歩を踏み出します。

「おにぎりブーム」は、やがて「おにぎり屋さんごっこ」へと発展しました。
「おにぎり、たべる?」と友だちや先生に声をかけ、やりとりを楽しみます。
ある男の子に「梅干しが食べたいな」とリクエストすると、少し考えてから「…うめぼしは、ありません」ときっぱり。「じゃあ、シャケをください」と言うと、「どうぞ」と大事そうに手渡してくれました。

また、「これはシャケです」「こんぶもありますよ」と、丁寧な言葉づかいでお店屋さんになりきる子や、黙々と作り続ける裏方さんの姿も。
大人の言葉をまねたり、自分の意思を伝えたり。遊びの中での小さなやりとりを通して、人と関わる心地よさを学んでいます。

子どもたちの遊びを見守る中で、私たち保育者自身もハッとさせられる瞬間がありました。
ある時、積み木を高く、あえて斜めに重ねていた男の子に、良かれと思って「ピタゴラスイッチみたいだね」と声をかけました。すると、その子は自分のイメージを「ピタゴラスイッチ」に変えて遊び始めました。
しかし後で分かったのは、本当は「ジャンプ台」を作っていたということでした。

大人の何気ない一言が、子どもが本来持っていた豊かなイメージを塗り替えてしまうことがあります。先に言葉をかけるのではなく、子どもの手の動きやつぶやきに、もっと目と耳を傾けること。「見る」「聴く」ことの大切さを、子どもたちから改めて教えてもらいました。

誰かのまねをして楽しむ子、じっくり観察してから参加する子、自分のイメージを形にする子。
満3歳児クラスでは、あせらず、急かさず、一人ひとりの「その子らしさ」を大切にしています。
これからも、子どもたちの小さなつぶやきや心の動きに丁寧に寄り添い、安心して自分を出せる環境を整えてまいります。
