【年長組 劇づくりプロジェクト④】「インターフォンつけたいよね」——こだわりを形にする力と、そっと支えるチーム保育

【この記事のポイント】幅下幼稚園の年長組「劇づくりプロジェクト」第4回です。「ぼのさんのお家」づくりを例に、子どもたちのこだわりと当園のチーム保育の様子をご紹介します。バスのお兄さんのサポートを受けながら土台を作り、友だちと話し合いながら「これだ!」と思える色を作り出す姿や、インターフォンに見立ててカスタネットを取り付けるなど、夢中になって自分たちの世界をつくりあげていくプロセスをお伝えします。えします。

大道具や小道具づくりが進み、保育室はすっかり「劇あそびの工房」のような熱気に包まれています。 年長組のこの時期は、ただ物を作ることから一歩進み、「もっと本物みたいにしたい」「みんなが『いいな』と思えるものをつくりたい」という探究心が深まる季節です。

今回は、「ぼのさんチーム」による大きなお家づくりの様子をお届けします。 子どもたちの細やかなこだわりと、担任の先生だけでなく園のさまざまな大人が関わりながら見守る「チーム保育」のあたたかな空気を感じていただければと思います。


「工作の名人」と一緒に動かす手

ある日の大道具づくり。ぼのさんチームは、大きなお家の土台作りに取り掛かっていました。 どんな形にするかお話をしながらも、なかなか具体的な手が動かない時間がありました。

そこへ、バスのお兄さんが保育室へやってきて、 「ここはこうやって」 と、一言そっと声をかけました。

すると、みんなが一気に動き出します。段ボールを押さえる子、テープを貼る子、材料を運ぶ子。空気がパッと変わった瞬間でした。 子どもたちは、いつも送迎をしてくれるバスのお兄さんが「工作や大きなものを作る名人」であることをよく知っています。「名人と一緒に作りたい」「きっとすごいものができる」。そんな大好きな大人への信頼と期待が、子どもたちの「やりたい!」という溢れる気持ちを、自然と引き出してくれました。

担任だけでなく、園にいるすべての大人との関わりの中で子どもたちの育ちを支える。これが幅下幼稚園のチーム保育の姿です。

「うん、これだ!」を探すパレット

バスのお兄さんと一緒に土台ができあがった次の日は、お家に色を塗る時間です。 大きな筆とポスターカラーを用意し、子どもたち自身で色づくりを進めていきます。

「もう少し白を入れたほうがいいんじゃない?」 「ちょっと明るくなったね」

友だちと顔を見合わせながら、絵の具を混ぜ、段ボールに塗って色合いを確かめ、また色を足していく。誰か一人が決めるのではなく、友だちと相談しながら「みんなが『いいな』と思える色」を探していく姿がありました。

広い面を力強く塗る腕の動きや、少しずつ変わっていく色合いを楽しみながら、「考えながらつくる」という豊かなプロセスがここにあります。

カスタネットの音が鳴る、リアルなお家

色を塗り、形を整え、少しずつ“お家らしく”なっていく中で、子どもたちのこだわりは「ドア」にも向きました。

「インターフォンつけたいよね」

そう話して子どもたちが選んだのは、なんと「カスタネット」でした。 ドアの横に取り付けたカスタネットを押すと、“カチン”と心地よい音が鳴ります。ただ絵を描いて飾るだけでは物足りない。「本当に鳴る」ことが大事なのです。 お話の世界を、自分たちのアイデアで本物のように創り上げていく。細部までとことんこだわる姿は、年長組の豊かな“表現する力”そのものです。

「ピンポーン♪」の代わりにカチンと鳴るインターフォン。それを押す瞬間から、子どもたちのワクワクする物語はもう始まっています。


【年長組 劇あそびシリーズ】 幅下幼稚園の年長組が、お話を創り上げ、おゆうぎ会の舞台に立つまでのプロセスを全5回でお届けします。

① 絵本の世界をみんなでひらいていく時間
② 役割の自己決定と協働
③ 大道具・衣装・小道具づくり
④ チーム保育で見守る子どもたちの挑戦(本記事)
⑤ 本番と総括〜みんなで迎えたおゆうぎ会〜(次回更新)