遊びが続く、深まる、つながる——12月の年長組の育ち
この記事のポイント:名古屋市西区の私立幼稚園・幅下幼稚園の年長組、12月の園生活。募金箱やツリー制作、年賀状、カプラ、ドッジボールなど、子どもたちの「やってみたい」が遊びを続け、試行錯誤や役割分担につながっていく日常をご紹介します。
12月。
名古屋市西区にある私立幼稚園・幅下幼稚園の年長組では、クリスマスや年末の雰囲気が、行事として“切り分けられる”というよりも、いつもの遊びの中にすっと溶け込んでいきました。
この時期の年長さんの遊びには、ひとつ特徴があります。
それは、「なんとなく楽しい」から一歩進んで、「これがしたい」という目的が見えやすくなること。
そして、その目的は一回で完結せず、日をまたいで続いたり、友だちと相談しながらやり直したりして、少しずつ形になっていきます。
ここからは、12月の日常の中で見られた、いくつかの場面をご紹介します。
年長児の遊びが変わる時期:続く・深まる・つながる
年長になると、遊びの中で「こうしたい」がはっきりしてくる場面が増えます。
「やってみる→うまくいかない→考える→もう一度」という試行錯誤が、誰かに言われて起こるのではなく、子ども自身の流れとして生まれていきます。
「誰かのために」を形にする:募金箱の話し合い
クラスで話し合ってつくったのが、募金箱です。
「どうしたら気持ちが伝わるかな」「何を描こう」「どんな色にしよう」——子どもたちは友だちの意見も聞きながら、自分たちで決めていきました。
完成した募金箱は、PTAの皆さん・幼稚園からの募金と共に、子どもたちからの募金も入れて「東海テレビ福祉文化事業団」の事務所の方へ手渡しました。
「募金箱をつくる」という行動の奥には、年長さんらしい “誰かのことを考えて行動する” という目的意識が見えてきます。

ツリーが来た日、子どもたちが“チーム”になる
12月初旬、おゆうぎ会にクリスマスツリーが運ばれてきました。
ツリーを前にすると、飾りをつける人、全体を見て考える人、そっと手を伸ばす人……。誰かが役割を決めなくても、自然と動きが分かれていきます。

素材選びとやり直しが育てる「こだわり」
素材を手にしながら、「これ、なんかいいな」という声も聞こえてきました。
同じ材料でも、選ぶものや組み合わせ方は一人ひとり違います。

そして、制作は「できた」で終わりません。
「やっぱりもう一回」と見直し、手を加え、また考える。
やり直しが“失敗の修正”ではなく、“もっとこうしたい”を形にする時間になっていきました。

この制作は、松ぼっくりやモールなどの素材を使った別の制作遊びへとつながっていく場面もあり、素材との出会いが新しい発想を呼び込んでいました。


年賀状は“相手の顔”が見える制作
年末が近づくころ、保育室は「年賀状づくり」の時間へ。
机の上には、絵の具と筆、白い紙。子どもたちは、いつもの制作とは少し違うことをちゃんと感じ取っています。
年賀状は、誰かに届けるものだからです。

だからこそ、筆の動きは慎重で、色選びにも迷いがあります。
思いどおりにならないところがあっても、手を止めて考え、また描いてみる。
静かに集中する時間が流れていました。

高さの先にあるのは工夫:カプラの挑戦
好きな遊びの時間、カプラで高いタワーづくりに夢中になる姿がありました。
高くなるほど手が届かなくなり、「どうしよう…」と一度立ち止まります。

それでも、「できない」で終わりません。
少し考えて椅子を運び、もう一度。
遊びの中で育っていくのはタワーの高さだけではなく、「どうしたらできるかな」と考え、行動に移す力だと感じる場面でした。

園庭に線が引かれると、遊びが立ち上がる
園庭で先生がドッジボールのコートの線を描き始めると、年長組の子どもたちが自然と集まってきました。
誰かが大きな声で仕切らなくても、それぞれが周りの様子を見ながら関わり合い、気づけばチームが分かれ、遊びが始まっていきます。

環境が整うことで「やってみよう」が生まれ、集団の中での役割や関係を学んでいく。
日常の遊びの中に、社会性が育つ時間が流れていました。
まとめ:子ども主体の土台になる「日常のプロセス」
12月の年長組の毎日は、特別な活動だけで埋め尽くされているわけではありません。
けれど、一人ひとりが「これがしたい」という思いを持ち、友だちや環境と出会いながら、その思いを続け、深めていく姿がありました。
幅下幼稚園では、完成や結果だけでなく、途中にある試行錯誤や迷い、やり直しを大切にしています。
それは、子どもたちが【自分で選び、自分で育っていく(主体性)】ための土台になるからです。

