【年長】「まちづくりプロジェクト」で育む、探究心と協同する力:地域と連携した「お店やさんごっこ」
年長組の子どもたちが主体となって取り組んだ「まちづくりプロジェクト」についてご報告します。子どもたちの「やってみたい」という気持ちを起点に、地域の方々にもご協力いただきながら、遊びが深い学びに繋がっていく様子をご紹介します。
1. プロジェクトのはじまり:子どもたちの「やりたい」から
プロジェクトは、子どもたちが「自分たちのまちをつくってみたい!」という思いを自由に話し合うことから始まりました。「パンやさん」「すいぞくかん」など、夢あふれるアイデアがたくさん集まります。
その中から、実際に5つのお店チームを結成。プロジェクトをより深めるため、地域の皆様のご協力を得て、実際のお店へ見学に出かけました。「本物」に触れるこの経験が、子どもたちの眼差しを真剣なものに変え、単なる「ごっこ」ではない、本格的な活動の幕明けとなりました。

2. 「本物」との出会いが引き出す探究心
子どもたちのイメージをより豊かに、そして「本気」の遊びにするため、各チームは実際のお店へ見学に出かけました。
・くるまやさん見学:車の修理工場では、タイヤを外す音や、持ち上がった車の裏側、バッテリーのずっしりとした重さに目を輝かせました。「靴の裏といっしょなんだ!」などの発見は、後の製作で軍手やリフトの再現に繋がります。

・デザートやさん見学:厨房の大きなオーブンやミキサー、色とりどりのケーキに興味津々。お店の方に教えてもらった「いらっしゃいませ」の挨拶にも挑戦し、「おもてなしの心」を体感しました。

・おしゃれやさん見学: 「おしゃれやさん」チームは、美容院にご協力いただき、美容師の仕事を体験しました。本物の道具を使い、園長を“お客さん”としてシャンプーやドライヤーをする子どもたちの手つきは、真剣そのものです。この実体験は、「人の役に立つことの喜び」や仕事への興味を強く刺激しました。園に戻った子どもたちは、見学で見た道具を細部まで観察して作り込み、遊びの世界に一層の深まりが生まれます。



3. 試行錯誤を支える「そっと見守るまなざし」
見学で得た「本物のイメージ」は、子どもたちの創造力と探求心へとつながりました。
・「くるまやさん」チームは、段ボールに大きな布を貼り、本物そっくりの車体を塗装。サイドミラーやフロントガラスなど、細部にまでこだわり、初めての段ボールカッターにも挑戦しました。


・「デザートやさん」チームは、猫型配膳ロボット「ベラボット」を製作。お客さんが増えた際には、自分たちで配膳方法を工夫するなど、現実の課題を解決する力を発揮しました。



・「まっくやさん」チームでは、ジュースを出すドリンクマシンがうまく作動しないという課題に直面しました。保育者からの「トイレットペーパーの芯を使ってみたらどうかな?」というヒントを元に、子どもたちは何度も試行錯誤を重ね、ついに自分たちの力で改良を成功させます。


さらに、子どもたちが頭を悩ませたのが「ポテトの入れ方」です。お店の人のように、素早くきれいに袋に入れるにはどうすれば良いか。保育者と一緒に考え、たどり着いた答えが、「マカロニ」をポテトに見立て、「小さなチリトリ」を使って入れるという独創的な方法でした。何度も繰り返し「ポテト」を袋に入れることを楽しむことで、自信を持ってオープンの日を迎えます。後日の保育参観では、お店に長い行列ができた際も、子どもたちは慌てることなく丁寧に自分の役割をやり遂げていました。


大人がすぐに答えを教えるのではなく、子ども自身が「どうしたらできるかな?」と考え、試す時間を丁寧に見守ること。当園では、このプロセスこそが、子どもたちの粘り強さや問題解決能力といった「学びの土台」を育む上で非常に重要だと考えています。
- 他者への思いやりと協同する力
プレオープンでは、年中さんや小学校の校長先生もお客さんに迎えました。
「おしゃれやさん」では、ネイリスト役の園児が「どの色がいいですか?」と優しく尋ね、お客さんの好みに合わせてシールで飾りつけを施します。そこには、相手に喜んでもらいたいという、温かな「おもてなしの心」が育まれていました。

このように、異年齢の友だちや、チームの仲間、そして地域の方と触れ合い、関わる中で、子どもたちは自然と他者を思いやる気持ちや、協力して課題を乗り越える力を身につけていきます。
*プロジェクト活動を通して育まれたもの
プロジェクトの締めくくりとして、子どもたちは見学でお世話になったお店の方々へ、感謝の気持ちを込めて手紙を書きました。
「見せてくれてありがとう」
「たのしかったよ」
「おみせがんばったよ」


・ 協同する楽しさ: 友だちと知恵を出し合い、一つのものを創り上げる喜び
・あきらめない力: うまくいかなくても、もう一度挑戦しようとする粘り強さ
・感謝と思いやりの心: 自分のためだけでなく、誰かに喜んでもらうことの嬉しさ
幅下幼稚園では、これからも子ども一人ひとりの「やってみたい」という思いを大切にして、遊びという学びの場で、未来につながる豊かな経験を育んでまいります。

