子どもの「やってみたい」を育む環境づくり ~年少組のごっこ遊びより~

秋が深まる季節、年少組の保育室では、子どもたちの「やってみたい」という気持ちから生まれた「お祭りごっこ」が大変な盛り上がりを見せました。一つのごっこ遊びが、子どもたちの創意工夫によって豊かに発展していく様子をご報告します。

お祭りの思い出から始まった「たこ焼きやさんごっこ」。画用紙を丸めて作ったたこ焼きを焼くことに夢中になっていた子どもたちの中から、ある時「油がいるんじゃない?」という声が上がりました。

本物のお店で見た光景を覚えていた園児の鋭い観察力。この一言が、遊びを大きく発展させるきっかけとなりました。保育者がそっと紙製のハケを用意すると、子どもたちはすぐに意図を理解し、「ぬりぬり」と油を引く工程を追加します。

その後も、茶色の絵の具でソースを塗り、マヨネーズや青のりをトッピングするなど、子どもたち自身の「もっとこうしたい」というこだわりが、遊びをどんどん本格的にしていきました。

後日行われた保育参観では、大好きなお家の方と一緒に最後の仕上げを行い、完成したたこ焼きを振る舞いました。

自分たちが創り上げてきた遊びの世界に大切な人を招き入れ、「おいしいね」と喜びを分かち合う。子どもたちにとってもお家の人にとっても、あたたかい時間となりました。

次のお店は「魚つりやさん」です。ここでは、あえて釣れる魚の数を少しだけ少なく用意しました。「もっと釣りたいのに、もうない」という、わずかな“物足りなさ”。実はこれが、子どもたちの創造力に働きかけるきっかけとなります。

すると、ある子は絵本を、またある子は自分で作ったものを釣り始め、お店はあっという間に魚以外のものも釣れる「なんでもつりやさん」へと姿を変えました。

大人がすべてを用意するのではなく、子どもたちが自ら考え、工夫する余地を残すこと。それが、遊びをより豊かに発展させると当園では考えています。

この遊びは園内にとどまらず、小学校の校庭で行われた運動会での「エビカニ釣り」コーナーにも発展。広い空の下、お家の方と一緒に楽しむ時間は、子どもたちにとって格別な思い出となりました。

お祭りのもう一つの人気コーナーは「輪投げ」です。ここには、大きさや重さの違う様々な種類の輪を用意しました。子どもたちは、自分の力で「できそう」なものを選んだり、少し難しいものに挑戦したりと、自分で難易度を調整しながら遊びに熱中します。

夢中で輪を投げることを繰り返す中で、子どもたちは自然と、距離感を測り、力加減を調整するといった、体の使い方を学んでいきます。一つひとつの「できた!」という喜びの積み重ねが、子どもたちの健やかな心と体の成長を促していくのです。

幅下幼稚園では、子どもたちの小さなつぶやきや発見に耳を傾け、一人ひとりの「やってみたい」という気持ちを大切に育んでいます。これからも、子どもが主体となる遊びを通して、未来につながる豊かな学びの機会を創出してまいります。